寄付を獲得して和歌山を元気に!
「1・23いよいよ動き出す寄付のチカラ」


和歌山大学経済学部・足立基浩氏と深尾氏の対談


 NPO法人わかやまNPOセンターが、このほど和歌山市のホテルグランヴィア和歌山で「1・23いよいよ動き出す寄付のチカラ」を開催した。
 国が提唱する「新しい公共」支援事業の一環として開催されたこのイベントは、地域で必要な活動を寄付で支える仕組みづくりを進められるよう税制などの制度改革があった昨年を「寄付元年」と位置づけ、今年は寄付の力をより強める時期として市民やNPO、企業などがするべきことを考えるもの。
 第1部は京都地域創造基金・深尾昌峰理事長による基調講演「“京都発”市民社会を変える新たな挑戦」。「市民立」財団を立ち上げ、2年間で1億円の寄付を集め、地域のNPOやボランティアを支援する仕組みを動かしている京都の事例を紹介した。
 第2部は「NPOからの問題提起」。地域で活躍しているNPOを代表して、いきいき和歌山がんサポートの谷野裕一氏と、子どもNPO和歌山県センターの岡本瑞子氏が、寄付の必要性と可能性について問題提起した。
 第3部はトークセッション。和歌山大学経済学部の足立基浩氏と深尾昌峰氏の対談。
 冒頭で壇上に立った同法人の有井安仁副理事長は「2010年日本で初めて寄付白書が発表されました。日本での寄付市場は1兆円にものぼり、昨年は東日本大震災や和歌山の大水害などで寄付・義援金が多く寄せられ、みんなが寄付の当事者になった年でもあります。この流れが後押しして昨年夏には寄付税制の改革がありました。欧米並みの寄付をした人にとって税金上のメリットがある制度です。暮らしのあらゆる分野を支えるのが官だけでなく市民。市民行動を社会全体で応援しようという動きが活発になり、私たちはそれらを地元力と呼ぶことにしました。人任せにしない地域づくりを、寄付という選択肢を生かしながら作り上げ、和歌山を盛り上げていきましょう」と宣言した。


深尾昌峰氏「京都発・市民社会を変える新たな挑戦」
「寄付市場は少ないが確実にある。寄付を活用し、寄付文化を醸成することで市民活動をより活発に」

 私が学生のころ阪神淡路大震災を経験し、いろんな形でボランティアに関わった経験が今の活動のベースとなっています。その後、京都NPOセンターを設立しましたが、NPOなどの市民活動にとって、どこまでいっても解決しないのが資金の問題です。
 そこで、基金を立ち上げてお金の流れを変えることにより社会の流れを変えようと、「京都地域創造基金」という公益財団法人を設立しました。「自分たちでお金を出してつくろう」という思いから1万円を300人から集めました。自分たちで寄付を集めようという運動によりみんなでつくった財団にしたかったからです。
 役所任せではなく市民が責任をもって自己決定できる社会が望ましいですが、現在のNPOなど市民活動は行政からの助成を頼りにせざるを得ず、行政側からは「3年間支援するからあとは自立しなさい」といった扱いですが、すべての活動が完全に自立した形で行えるものではありません。
 市民、地域活動の多くは、問題に気付いた人の「ほっとけない」という思いから始まるもの。そして解決に向けて取り組んでいくうちに社会に広がり、ある一線を越えたときに社会的認知が広がっていき、そのあとは自治体の課題になっていきます。
 例えばDV(ドメスティックバイオレンス)という言葉、いまはみんなが知っていますが、20年前はだれも知らなかったものです。だからといって家庭内暴力という行為が全くなかったわけでも、この20年で急激に増加したわけでもなく、ずっとあったが社会はそれに気付いていなかったし、問題意識を持っていなかっただけなのです。
 DVを受けている当事者に近しい人が「ほっとけない」思いから当事者をかくまう、逃がすという行為が今の「シェルター」という概念をつくったように、社会に広まり社会全体の課題となったところでようやく政治的課題となり、法律となったときに税金が使えるようになるのです。ここまでくれば税金を使い、行政事業を置き換えて活動するので、社会にとっても支えやすいものになります。さまざまな権利や事業は「今の当たり前は誰かのほっとけないから始まっている」ということなのです。
 しかし、その前の段階の小さな「気付きの活動」を支える仕組みはこれまでほとんどありませんでした。しかし市民活動にとってこの大事な期間、市民にしかできない領域をいかに支えていくかが「京都地域創造基金」のチャレンジ。この部分を行政との協働も図りながらより手厚くしていき、市民発の公益的事業を共有できる仕組みを考えていかないといけない。
 最近のNPOには事業化されたものも多くなり、「寄付に頼るなんて二流のすること。今の時代は経営だ」という方も増えてきています。これはとても大事なことですが、すべての活動が経営ベースでできるわけもなく、経営資源のひとつとして寄付をうまく取り入れていくことが大事。自分たちの活動をもっと豊かにしていく「民力」が問われているのです。
 とはいえ「寄付が集まらない」というNPOが大半。では寄付市場はこの日本にないのか。京都府内のNPO法人は約1000ありますが、昨年1年で集めた寄付の総額は6億円。少ないがないわけじゃないことが分かります。このうち上位100団体が4億円を集めています。きちんとした取り組みをしていれば寄付は集められるのです。
 「なぜ寄付しない?」というアンケートに対しては1位が「お金がない」という答えでしたが、2位は「頼まれたことがない」、3位は「何に使われるか分からない」という回答でした。また「遺産をどうしたい」という問いには大部分が「子ども達に残したい」でしたが、「自治体に寄付したい」が2%、「NPOなど市民団体に寄付したい」が3・8%ありました。
 これらをまとめると、寄付をしたい人たちは多くいるにも関わらず結果的にしていないのは「頼まれていないし、何に使われているか分からないから」。ということになります。これと反対のことをすれば寄付を集める可能性はあるともいえます。
 近年はNPOという名前だけで社会から信用されるものではなくなり、厳しい眼差しがあります。また「NPOはいいことしているとなんとなく分かるけど、よく分からない」といった不透明さも目立ちます。きちんとした活動が見える仕組み作りが求められています。
 例えば寄付を何に使っているかなど、ホームページですべての情報を開示するなど社会に説明していく癖をつけることはすぐにでもできることですから、まずはそこからはじめましょう。これにより寄付や資源提供する人・企業がホームページを見て、寄付の申し出をしてくるケースもあります。
 「市民財団だからお金も人材もない」という悩みを大半が持っています。だからこそ官民一体で連携し合って引き出し合う柔軟な活動が必要です。
 寄付をしたい人は少ないけどいる。私の目標は現在の寄付額6億円を60億円にすること。この資金がNPOで流通したら人材の確保や事業展開ができていくはず。それにはまず自身が情報開示など努力をしていくことが大事なのです。
 「×を○」からではなく「○を◎」にする。社会が共感できるような、仕掛け、空気をつくっていくことが寄付文化の醸成には不可欠。互いの得意なことを引き延ばしていくお金の流れを作っていきたいですね。



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